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谷川英徳

椎間板ヘルニア・・・原因、症状、治療について

更新日:2020年11月8日

今回は、腰や足に痛みが出たときに疑う病気「椎間板ヘルニア」について簡単に説明いたします。


椎間板ヘルニアはどんな病気ですか?

始めに、「椎間板」は背骨の骨と骨の間のクッションで、衝撃を和らげたり背骨を滑らかに動かす役割を担っています。一方、「ヘルニア(hernia)」はラテン語で「脱出」を意味します。つまり、「椎間板ヘルニア」というのは背骨のクッションが飛び出し、神経に当たり、足の痛みやしびれが出る病気です。

腰のヘルニア(腰椎椎間板ヘルニア)では、主にお尻や足の痛み・しびれ、動かしにくい、力が入りにくいという症状が出ます。痛みやしびれは下半身のどこにでも出る可能性がありますが、特にお尻から太ももの裏側の痛みは坐骨神経痛と呼ばれ、腰のヘルニアの代表的な症状です。


さらに、神経が非常に強く押されている場合にはおしっこやお通じが出にくい、漏れてしまうという症状が出ることもあります。

椎間板ヘルニアの原因は?


腰の椎間板ヘルニアについては、腰に負担がかかる作業が多い人に起こりやすい傾向があります。しかしながら、顔を洗うなど、特に腰に負担をかけていない日常生活でも椎間板ヘルニアになることがあり、誰にでも起こる病気と言えます。


また、「椎間板ヘルニアの原因と症状」について、「いしゃまち」で記事を監修させていただきました。詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。



椎間板ヘルニアはどのようにして診断しますか?


痛みのでた経過、身体の症状、レントゲン、MRI検査などを総合して診断します。レントゲンでは椎間板は写らないので、椎間板ヘルニアを明らかな形で確認するにはMRI検査が必要です。MRIでは椎間板ヘルニアの場所、大きさ、形、神経がどれだけ押されているかなどがわかり、どのような治療が適しているのか、手術をしないでも治りそうか、ということもある程度推察できます。手術に際しては、CT検査や造影剤というレントゲンに写る薬を注射する検査などを行うこともあります。



図の説明:矢印の部分が飛び出ている椎間板(椎間板ヘルニア)です。腰の神経(中央の白い部分の中にある黒い点々が神経です)が圧迫されています。


椎間板ヘルニアはどのような治療がありますか?


椎間板ヘルニアの多くは数か月で自然に小さくなり、症状が軽くなると言われています。飛び出した椎間板ヘルニアが完全に無くならなくても、神経に当たらなくなったり、押されていた神経の炎症が治まったりすると症状は軽くなると考えられます。症状が出てから間もない場合には、症状を和らげる治療(痛み止めや炎症を抑える薬、ブロック注射)が中心になります。痛み止めは消炎鎮痛剤・神経障害性疼痛治療薬などを使用します。

症状が長く続く場合(3ヶ月以上)や、症状が出てからの期間が短くても痛みやしびれが強くて日常生活や仕事に支障がある場合には、手術を検討します。「痛みやしびれでどれだけ困っているか、」「仕事への早期復帰が必要か」など、患者さんの希望に沿って決めてゆきます。


もしも、「足の力が入りにくい」「立ち上がることができない」「おしっこやお通じが出にくい、漏れてしまう」などの麻痺の症状がある場合は早めの手術が必要です。放っておくと後遺症として残る可能性が高くなりますので、これらの症状があればすぐに病院を受診して下さい。


椎間板ヘルニアの手術はどのように行いますか?


背中を切開し、ヘルニアを取る手術を行います。傷口は5cmほどで、翌日から歩行を開始し、5日間程度で退院が可能です。手術を受けると痛みはすぐに軽くなることが多いですが、リスクやデメリットもありますので、詳しい内容については整形外来でご相談ください。


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