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谷川英徳

「腰痛」の原因・症状・治療法のはなし

更新日:2020年11月8日


腰痛の原因


 腰痛の原因は大きく分けて、「腰(脊椎)が原因の腰痛」と「腰以外が原因の腰痛」に分かれます。腰が原因のものには、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離すべり症、骨粗しょう症による骨折、感染、癌の転移、筋肉による痛み、など様々な病気があります。腰以外が原因のものには内臓の病気(すい臓や腎臓の炎症、尿路結石、子宮内膜症など)、血管の病気(解離性大動脈瘤など)、心因性(精神的なストレスによるもの)などがあげられます。


腰痛の原因を見つけるのは難しい

 原因のわかる腰痛は全体の約15%しかなく、残りの85%は原因が特定しにくい非特異的腰痛と言われています。非特異的腰痛には椎間関節や筋肉による腰痛が多く含まれますが、それを鑑別することは簡単ではなく、原因を特定するには局所麻酔薬を注射して痛みが取れるかを確認する検査を何ヶ所も行う必要があります。


 腰痛の原因を詳しく調べた論文では椎間関節性(22%)、筋筋膜性(18%)、椎間板性(13%)、狭窄症(11%)、椎間板ヘルニア(7%)、仙腸関節性(6%)であったと報告されております。日常の診療では、痛みを伴う検査を行なってまで原因を特定することはせず、運動療法やお薬の処方など痛みに対する治療を優先して行います。



腰痛の症状


多くの腰痛は1ヶ月以内に自然に軽快してきますが、悪性腫瘍、感染、骨折、内臓の病気からくる腰痛など放置しておくと危ない腰痛もありますので、以下のような症状があれば注意が必要です。

安静にしていても痛む・熱がある

寝ていたり、じっとしていても腰痛がある場合や熱がある場合には重い脊椎の病気や内臓の病気の可能性が考えられるので注意が必要です。


背中が曲がってきた、身長が低くなった

骨粗しょう症によって背骨が潰れる圧迫骨折である可能性があります。この骨折は「いつの間にか骨折」とも呼ばれ、症状がはっきりしないけれど骨折していることがあります。1つ圧迫骨折を起こすと、2つ3つと圧迫骨折が続いて起こりやすくなるため、骨を強くする薬で治療を行う必要があります。


しびれがある

足がしびれたり、お尻がしびれたり、歩くとしびれる場合には腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなど腰の神経が障害されている可能性があります。これらの病気は進行し、足の力が弱くなったり、尿や便が出しにくくなったりすることがあるため注意が必要です。軽いしびれのみであれば、経過観察やリハビリテーション・のみ薬で治療を行います。

上記の症状には当てはまらずに、「体を動かしたときに腰だけが痛む腰痛」の場合には、腰の関節や筋肉が原因であることが多く、1ヶ月程度で痛みが引いてくることが多いです。


ただし、3ヶ月を超えて腰痛が続く場合には慢性腰痛と呼ばれ、その自然経過は急性腰痛(1ヶ月以内の腰痛)に比べて悪いことが知られています。検査を行い、リハビリテーションやお薬の治療を行った方が良いことがありますので、整形外科を受診することをおすすめします。


腰痛の治療


 原因が明らかな腰痛に対しては、その原因に対する治療を行ってゆきます。例えば、感染が原因の腰痛であれば抗生剤を投与しますし、尿管結石が原因の腰痛であれば泌尿器科に紹介して治療をしてもらいます。


 原因が明らかでない腰痛に対しては、痛み止めの処方、リハビリテーション、ブロック注射などの治療を組み合わせて行ってゆきます。ストレッチをして関節を柔らかくしたり、筋トレをして体幹を支える筋肉の量を増やすことは効果的な治療方法です。


当院のリハビリテーションではレッドコード(下図)やバランスボールなどを用いて、患者さんの年齢や体力に合わせて様々なトレーニングを指導していますので、腰痛でお困りの患者さんはお気軽に受診ください。




腰痛体操

3ヶ月を超える慢性腰痛に対して、運動療法は手術と同等の治療効果があるとされています(腰痛診療ガイドライン2019)。でも、「どのような運動が良いのか分からない」「仕事が忙しく病院に通って治療する暇がない」という患者さんも多くいらっしゃいます。当院の理学療法士が自宅でできる腰痛体操を紹介しますので、自宅で試してみてください。

まずは以下の動画を見ながら運動を始めてみて下さい。

運動をやってみて腰が痛むようであれば、その運動はとばしてください。

週に2〜3回程度から始めて、慣れてきたら、毎日1回行うと良いでしょう。










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