外反母趾はハイヒールを履く女性に起こりやすく、女性の患者数は男性の6−10倍と言われています。外反母趾とはなんなのか?どうやって治療するのか?、そしてDLMO法と呼ばれる侵襲の少ない治療方法について紹介いたします。
<外反母趾の症状>
外反母趾は、足の親指(母趾)が人差し指(第2趾)のほうに「くの字」に曲がってしまう病気です。健常な足には縦のアーチと横のアーチがありますが、外反母趾ではこれらのアーチが崩れることで足趾の変形が起こります。母趾が「く」の字に曲がったり、症状が進むと2番目3番目の趾が脱臼したりします。出っ張った部分が靴に当たって炎症を起こして、ひどくなると靴を履いていなくても痛むようになります。
<外反母趾の原因>
外反母趾の一番の原因は靴を履くことで、幅の狭いつま先が細くなった靴を履くと母趾のつけ根が圧迫されて変形します。ヒールの高い靴はつけ根にかかる力が増えてさらに変形を強くします。靴の歴史の長い欧米人に多い病気でしたが、最近は日本でも急速に増えています。
また、ハイヒールを履いていなくても、母指が人差し指より長い足をしている、足の甲が低い扁平足であるなどの特徴があると外反母趾になりやすいと言われています。中年を過ぎると、肥満と筋力低下が原因となり変形が進んできます。
<外反母趾の治療>
保存療法(手術ではない治療法)
・足先が詰まっていないゆとりのある靴、足のアーチをサポートする機能が組み込まれている靴を履くようにします。
・足の指を開いたり閉じたりする「グー・パー運動」、タオルを敷いて足趾で寄せる「タオル寄せ」運動を毎日行います。当院ではリハビリテーションで理学療法士による運動指導も行なっております。
・外反母趾用の装具を使用します。装具には足のアーチを保つ機能がある靴の中敷き(足底板)、両足の母指に輪ゴムをかけて足先を開く装具、母指と人差指の間にはめ込む装具などがあります。当院は、木曜日午後に義肢装具士が勤務しておりますので、装具について相談したい患者さまは木曜日午後に整形外科を受診ください。
<外反母趾の手術療法-DLMO法->
外反母趾の手術法は 100 通りを超えるくらいありますが、当院では、患者さんの負担が小さく、手術時間も短いDLMO法(Distal Lineal Metatarsal Osteotomy : 中足骨遠位直線骨切術)を行なっております。DLMO法は「皮膚を数センチ切開し、足の骨を横に切り、変形を戻して、金属ワイヤー1本で止める」というシンプルな術式です。手術時間は30分程で終了します。金属ワイヤーは手術後1−2ヶ月で抜去しますので、術後に体の中に金属が残らないこともこの術式の特徴です。手術後1−2ヶ月の間は、足にかかる負担を軽減するために、専用の靴を履いて歩行します。
DLMO法は軽度から中等度の外反母趾に対して適応がある治療法です。変形が重度の外反母趾の場合は、骨を切って金属のプレートで固定するMann法を用いたり、足の2番目、3番目の趾が脱臼している場合には、その趾の骨切り術を追加で行います。また、関節リウマチによる外反母趾の場合には人工趾関節を用いた治療を行っております。
外反母趾の治療について詳しく知りたい方は、整形外科にてお気軽にご相談ください。
Comentários