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「半月板損傷」の良くある質問と当院での治療方法

更新日:2020年11月8日


 半月板損傷は、スポーツ外傷の中でも比較的頻度の高い疾患です。半月板損傷って何なの?どうやって治療するのか?など良くある質問についてお答えいたします。

質問1:半月板とはどこにあり、どんな役割をしているのでしょうか?

半月板は膝関節の大腿骨(だいたいこつ:ふとももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間に挟まっており、膝関節の衝撃を和らげるクッションの役割を果たしています。三日月の形をしているため半月板と呼ばれます。その成分は70%以上が水分で、残りはコラーゲンでできています。歳をとると水分が少なくなってくるため、半月板のクッション性が低下し、損傷しやすくなります。

質問2:半月板損傷とは?

転んだりつまづいたりして、膝に衝撃が加わると半月板が切れることがあります。若い患者さんはスポーツ中(サッカー、スキー、ラグビー、柔道など)の怪我で発症することが多いです。中高年の患者さんは、スポーツ(ジョギング、テニス)を楽しんでいるとき、小さな段差でつまづいたときなど、大きな怪我はなくても半月板が切れてしまうことがあります。

質問3:どのような症状がみられますか?

膝関節の痛み、腫脹、引っかかり感、膝が動かない、などの症状がみられます。特に膝を深く曲げると(正座やあぐらの動作)膝関節の痛みが出ることが多いです。損傷された半月板が膝関節の中で引っかかると、膝の動きが悪くなる(ロッキング)ことがあります。




質問4:どのように診断するのでしょうか?

問診(膝を痛めたきっかけ、症状の経過など)や症状を元に診断してゆきます。レントゲンでは半月板を見ることはできませんが、関節の変形や骨折を確認するために撮影します。最終的にはMRI検査を行い、半月板の状態をチェックします。MRIで損傷を認めた場合は、損傷程度や本人の希望に合わせて治療を選択してゆきます。

質問5:円盤状半月板(Discoid)とは?

通常、半月板の形は中心に穴の開いたドーナツ型をしています。しかしながら、生まれつき半月板の形が「ドーナツ型」ではなく「円盤型(穴がない)」の人がいます。円盤状半月板はその人の体の特徴であり、生涯を終えるまで無症状の人も多くいます。しかし、子供の半月板障害の場合、形状が円盤状半月板であることが多く、痛みが続く場合は、真ん中をくり抜いて「ドーナツ型」にする手術を行います。


左:正常な半月板  右:円盤状半月板




質問6:どのように治療を行いますか?

M R Iの結果、断裂の程度が軽度〜中等度の場合は、3か月ほど安静にして経過観察を行います。3ヶ月が経過しても、痛みの程度が変わらない、スポーツや日常生活に支障がある、という場合は手術を行います。また、断裂が重度である、ロッキング(膝が動かない)の症状がある、早期の競技スポーツ復帰を望む場合には早めに手術を行います。  手術は半月板切除術と半月板縫合術があります。当院では関節鏡を用いて半月板を縫合する手術を行っています。一昔前は半月板切除術が主流でしたが、将来的に膝が変形するリスクが高まるため、当院ではできるかぎり半月板の縫合術を選択しています。断裂した半月板がボロボロで縫合ができない場合のみ部分的に切除術を行います。手術は約40分で終了し、1cmの傷口が2、3箇所できるのみです。

質問7:入院期間はどのくらいでしょうか?

答え7:入院期間は4〜7日です(入院→手術→松葉杖が上手く出来たら退院)。手術翌日より松葉杖を用いて歩きます。半月板縫合に使用する糸は細いので、当院では術後1〜2週間松葉杖を使用してリハビリを行なっています。

質問8:学校や仕事にはいつから戻れますか?

答え8:患者さまによって損傷の程度・術後の痛みや腫脹が異なるため一概には決められませんが、症状が落ち着いていれば、学校や仕事(デスクワーク)は退院後翌日から復帰可能です。軽作業は術後1ヶ月程度、重労働は術後3ヶ月程度で復帰可能です。

質問9:スポーツへの復帰はいつ頃からできますか?

答え9:競技種目や競技レベルによってことなりますが、部分的な復帰は3カ月、完全復帰は6カ月が目安となります。例えば高校最後の試合があるなど、どうしても早期復帰したい場合は外来でご相談ください。

質問10:手術の合併症にはどんなものがありますか?

関節鏡の手術で時間も短いので、比較的安全に受けていただける手術ですが、以下のような合併症が考えられます。

①術後の疼痛・腫脹:術後一時的な痛み、腫れ、しびれなどが出ますが、いずれも2週間程で治まります。  

②細菌感染:手術した傷に細菌が感染すると、傷が化膿し関節に膿がたまることがあります。関節鏡は関節内を洗浄しながら行うため、感染を生じるリスクは低く1%以下です。術後は感染予防のために抗生物質を使います。

④術後骨壊死:頻度は少ないですが、半月板治療後早期から膝に負担をかけすぎると、術後に骨壊死(骨が部分的に死んでしまう)が生じることがあります。この場合、松葉杖を使用するなど、膝関節の負荷を減らして経過をみます。

⑤再断裂:半月板は可能な限り温存するため、残存部や縫合部が再度損傷される可能性があります。

質問12:白井聖仁会病院で手術を受ける場合の手順を教えて下さい

答え12:外来で担当医と相談し手術を受けることが決まったら、入院の申し込み手続きと術前検査(採血、レントゲン撮影、心電図、呼吸機能検査、心臓エコー)を行います。看護師から「入院の時に用意するもの」「手術前に中止するお薬」などの説明を受けます。入院は手術日前日となります。


#病気のはなし #半月板 #スポーツ #整形外科

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