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脊柱管狭窄症・・・症状、診断、治療について

脊柱管狭窄症は「歩くと足が痺れて休むと良くなる」といった症状が典型的な、日常の診療でよく見つかる病気です。今回は「脊柱管狭窄症」の症状、診断、治療方法について簡単にお話しいたします。


脊柱管狭窄症はどんな病気ですか?

「脊柱管」とは脊髄が通るトンネルのことで、背骨の中にあります。腰部脊柱管狭窄は、腰の部分の背骨の脊柱管が狭くなり、その中を通る神経が圧迫されて、下半身のしびれや痛みなどが起こる病気です。


原因は、加齢によって骨が変形したり、脊柱管の後ろ側にあるじん帯が厚くなったりすることです。40代後半から発症し、年をとるにつれて頻度が高くなります。


図の説明:白い部分が腰の神経が通るトンネルです。左ではトンネルが詰まっており、黄色い矢印の部分で不連続になっているのが分かります。


脊柱管狭窄症の症状は?

腰部脊柱管狭窄で必ず現れる症状が、足のしびれや痛みで、太ももからふくらはぎやすねにかけて起こります。腰痛は必ず起こるわけではありません。

① 太ももからふくらはぎにかけてしびれや痛みがある

② しびれや痛みは、しばらく歩くと強くなり、前屈みで休むと楽になる

③ 長時間立っていると、しびれや痛みが出る

「歩いているうちに足のしびれや痛みが強くなって歩けなくなり、前かがみになって少し休むと楽になって、また歩けるようになる」という症状を間欠跛行(かんけつはこう)といい、脊柱管狭窄症の患者さんの7割に起こる特徴的な症状です。

神経が圧迫される場所によって、以下の三つに分類されます。

・馬尾型(ばびがた)

脊柱管の中心が圧迫される状態です。しびれ感や痛みが足の両側に出ます。また冷感や火照りなどの異常感覚が出る場合もあります。症状が進むと、排尿障害(おしっこが出にくい、もれる)などの症状が起こるため、整形外科を早めに受診することをすすめます。馬尾型は時間が経つにつれて徐々に症状が進行してくることが多いです。

・神経根型(しんけいこんがた)

神経根は、馬尾から左右に分かれた神経の根元で、痛みのセンサーとしての役割がある場所なので、圧迫されると強い痛みが起こります。片側の足だけに痛みが起こり、数年以内に自然に良くなることが多いです。

・混合型(こんごうがた)

馬尾型と神経根型の両方の症状が起きます。


脊柱管狭窄症はどのようにして診断しますか?

しびれや痛みの場所、レントゲン、MRI検査などを総合して診断します。レントゲンでは脊柱管を通る神経は写らないので、脊柱管狭窄症を明らかな形で確認するにはMRI検査が必要です。MRIでは神経の圧迫の大きさ、形、場所などがわかり、どのような治療が適しているのか、手術が必要かどうか、ということもある程度推察できます。


手術に際しては、CT検査や造影剤というレントゲンに写る薬を注射する検査などを行うこともあります。



図の説明:白い部分が神経が通るトンネル、白い部分の中にある黒い点々が神経。右図ではトンネルが潰れ、神経が強く圧迫されていることがわかります。


脊柱管狭窄症の治療はどのように行いますか?

<保存的治療>

腰部脊柱管狭窄では、始めに飲み薬による治療を行います。馬尾型、神経根型とも、神経の血流を改善するお薬を第一選択薬として使用します。神経根型の多くでは3か月ほどで症状が改善します。


さらに、しびれや痛みに対して、神経障害性疼痛治療薬や消炎鎮痛薬を併用して治療を行なってゆきます。神経根型で痛みが非常に激しい場合は、障害されている神経のそばに局所麻酔薬を注射する神経ブロックを行います。

<手術治療>

脊柱管を通る神経への圧迫が長期間続くと、長い距離を歩くことができず徐々に筋力が低下します。また、排尿障害など症状が重くなってから手術を受けても、傷んだ神経が十分に回復しない場合があります。馬尾型の脊柱菅狭窄症の場合は、薬による治療を数か月続けてもよくならなければ手術を検討します。一方、神経根型では、痛みで仕事や日常生活に支障をきたしている場合に手術を考えます。


脊柱管を狭くしている原因を取り除き、脊髄神経を除圧することが手術の目的となります。手術では、脊柱管が狭窄している部分の背中側を切開し、肥厚した靭帯や骨を取り除きます。手術時間は狭窄している部位の数にもよりますが、1〜2時間で終了します。術後は翌日から歩行することができ、約1週間で退院となります。


「背骨がぐらついている」「腰椎すべり症がある」「腰痛が強い」などの場合、除圧術のみでは将来的に腰の症状が悪化することがあるため、脊椎固定術を選択します。固定術では背骨にスクリューを入れ、動かないように固定行います。


手術にはリスクやデメリットもありますので、詳しい内容につきましては整形外来でご相談ください。

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